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江戸友禅とは?日本三大友禅について

江戸友禅とは

江戸友禅は東京友禅とも言われ、武家文化、町人文化のもとに発展しました。京都で誕生した友禅染めは、まず加賀に伝わりその後江戸に伝わりますが、それぞれ時代背景やお国柄の影響を受けて、独自の友禅染となっていきます。

江戸友禅は、渋く落ち着いた色合いで描かれており、デザインもすっきりして都会的なのが特徴です。

江戸友禅について

江戸に友禅が伝わったのは、文化文政時代(1804〜1830年)で、町人文化が最も栄えた時期でした。町人が経済の主導権をとるようになるとともに、模様絵師による手描友禅が発展しました。京都で染められる友禅を京友禅、加賀で染められる友禅を加賀友禅というように、江戸で染められる友禅を江戸友禅といいます。

この江戸友禅は、京友禅や加賀友禅と少し違って、江戸近郊の風景をモチーフとしたデザインが主流で、色数も少なめに仕上げられていることです。また、着物を作る工程が京友禅が分業化されているのに比べ、江戸友禅は、伏せ糊と蒸し、水洗以外は、ほとんどの過程を作家一人でおこなっています。

歴史と成り立ち

友禅の技法が江戸に伝わった理由として、二つの説があります。

ひとつは徳川家康が江戸幕府を開き、参勤交代で大名のお抱えだった友禅染の職人も江戸へ一緒にやってきて、友禅の技法が江戸の染職人に伝わり、江戸好みの友禅になっていったと言う説です。

もうひとつの説は、十七世紀に五代将軍綱吉の母である桂昌院が、京都から友禅職人を呼び寄せて、大奥御用達の友禅染を作らせたのが江戸友禅の始まりとも言われています。

しかし、友禅自体は300年余りの歴史があるようで、井原西鶴書の「好色一代男]のなかに、友禅模様についての記述があります。

友禅がはじめて制作された頃は、金箔や刺繍をあしらった華やかなものでしたが、元禄時代のインフレ対策のひとつとして幕府が贅沢を禁止する奢侈禁止令(しゃしきんしれい)をだしたことから、糊と染料のみを使うシンプルなものへと移り変わっていきました。江戸友禅は、糊伏せした白生地をそのまま生かす技法や、さび朱の渋い色合いを使って、色柄ともにシンプルに制作されています。現代でも、ハレの日に着る留袖や訪問着などを選ぶ際に、スッキリしたデザインの江戸友禅を選ぶ方が増えています。

・友禅のそれぞれの育ち方

京友禅は、天皇や貴族文化の影響から、雅で華やかな金銀の彩色が特徴です。

加賀友禅は、武家文化の質実剛健をもとに、染のみの技法で発展していきました。

そして、江戸友禅は町人文化の粋ですっきりとした江戸好みの友禅として確立して行ったのです。

特徴と技法

江戸友禅は、江戸時代の町人文化の粋やわび、さびの影響を受けています。主な文様としては、「磯の松」「釣り船」「網干し」「千鳥」「葦」などの風景文様です。

色彩の傾向としては、藍や白を用いてスッキリとした色使いに仕上げられています。

江戸友禅の技法の特徴は、糊伏せした白場(染まっていない白い部分)を、そのまま模様の一部に活かす「糊の白上がり」です。

江戸友禅には糸目友禅、蝋纈染(ろうけちぞめ)、無線描(むせんがき)の3通りの技法があり、いずれも防染技法による染色です。

現在は染あがりに、白い糸のような線が浮き上がる糸目友禅が主流となっています。

江戸友禅の染の工程は、ひとりの友禅師が、構図から下絵、糸目糊置きや色挿しを行いますが、伏せ糊と蒸し、水洗は専門の業者に依頼します。

・糸目友禅とは

糸目とは柄の輪郭線を糸目と呼ばれる糊でかこって防染し、その中に彩色を施します。糸目の糊は水洗いをすると取れます。

・蝋纈染(ろうけちぞめ)とは

防染に蝋を用いた染色方法で、蝋の割れ目から染液が入り込んで、模様に線が入り独特の味わいが出ます。

・無線描(むせんがき)とは

生地に直接絵筆で絵柄を描き、彩色する技法で、描き上げ友禅とも呼ばれます。防染をしないため、にじんだ部分に柔らかな味わいが出ます。

産地に関して

友禅染には水が必要ですが、江戸の友禅職人たちは必要な水を求めて、隅田川や神田川の近くに住んでいたそうです。1670年代に染工場が神田川上流域の高田馬場付近に造られたこともあり、多くの染師や染物関連の職種に携わる人達が、このあたりに住むようになりました。

染め物産業は、関東大震災や第二次世界大戦を契機に、東京の地場産業として発展を遂げてきました。現在では新宿区に染物工房が点在しており、その文化を守り続けています。昭和30年代くらいまでは神田川、妙正寺川などで水洗いをする姿が見かけられていたようです。

江戸友禅は、東京手描友禅として、昭和50年3月に伝統的工芸品に指定されました。

まとめ

友禅染めの技術は、1工程について10年もの修行が必要と言われています。

江戸友禅は、町人が経済の主導権を握るほどの力だあった頃に発展した影響もあり、渋く落ち着いた色合いの中にも、イキイキとした都会的センスのある作風が特徴です。

江戸友禅は、京友禅や加賀友禅の影響を受けながらも、新たな江戸友禅としての確固たる地位築いてきました。

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