張りのある生地やキリっと締め上げた帯の心地よさに虜になり、男性の着物に興味を持つ方が増えています。
粋に着てみたいけど着物や小物の合わせ方がわからないという方は多いでしょう。
フォーマルやカジュアルなど着物の違いや着物や帯の格など、ルールが多い着物の世界。さまざまな決まりごとを確認しながら、着たいシーンに合う着物を選んでみましょう。
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男物のきものの種別
男物の着物には正礼装、準礼装、略礼装、洒落着などがあります。
他にも自宅や近所の散歩程度で気楽に着られるカジュアルな普段着、夏に着る浴衣など、素材や着るシーンなど着物の種類はさまざまです。
男物の着物でも女物と同じく着物の格があり、染の着物は礼装でも着られています。
織の着物はカジュアルなお出かけ着や普段着用です。
礼装では羽織袴の着用が必須ですが、カジュアルなシーンでは長着と帯だけの着流しという着方もあります。
男物の着物を着る時期の目安は次の通りです。
・袷 10~5月頃
・単衣 5~6月と9~10月
・薄物 7~8月
・胴抜き仕立て 5月・10月
このように季節に合わせた素材や仕立て方の着物を着ます。
1 礼装
正礼装は冠婚葬祭での主賓の場合に着用する黒羽二重五つ紋付き羽織袴です。黒の羽織、長着(一般的に着物といわれているもの)と袴を着用します。染め抜き日向紋の五つ紋は羽織、長着どちらにも入れましょう。
式典やパーティーなどで洋装のモーニングや燕尾服などを着用するシーンでは黒紋付きの羽織袴を着るといいでしょう。正礼装と準礼装の袴は仙台平を着用します。
2 準礼装
結婚披露宴やなどタキシードを着るシーンでは色紋付羽織袴がふさわしい装いになります。紋は染め抜き五つ紋もしくは三つ紋、一つ紋です。羽二重以外の縮緬や御召でも準礼装として着用できます。
パーティーなどで平服と指定のある場合は略礼装です。その場合は江戸小紋や御召、紬の長着、羽織袴を着用します。
3 洒落着
洒落着を着るシーンは、気軽なパーティーや食事会など。袴は付けず長着と羽織だけを着用します。
正座をしたり立ったりと動くことが多い場合は、カジュアルな袴を合わせてみましょう。礼装の袴よりもカジュアルダウンした小袴(こばかま)を着用しても、ちょっとしたパーティーにふさわしいコーディネートとなります。
洒落着でよく着られている素材には紬に御召、江戸小紋などがあります。長着と羽織の同素材でアンサンブルにしても、素材や色を変えてもどちらでもかまいません。
カジュアルに着る普段着の素材には正絹の他、ウールや化繊の着物があります。最近はシルクウールや化繊とウールの混紡などさまざまな素材があります。
ファッション性の高いデニム素材の着物や、ベルト風の帯などでおしゃれに着こなす方もいらっしゃいますよ。
また、長襦袢の代わりにスタンドカラーのシャツやタートルネックのインナーを合わせた書生風の着こなしも人気です。
夏の男着物には絽や紗、サマーウール、小千谷縮・近江縮などの麻などがあります。
浴衣も男性の洒落着物の一つになります。浴衣の場合は足袋を履かずに素足で下駄を履きます。
薄物や浴衣など、夏でも着物を涼しげに着こなせると素敵ですね。
男着物に合わせる帯
男物に合わせる帯は角帯、兵児帯の2種類のみです。フォーマルには角帯を使います。角帯の格は次の順です。
- 正絹
- 紬(正絹)
- 木綿やポリエステル
正絹でもフォーマル用、カジュアル用によって色や柄が異なります。
博多織で作られた博多帯はフォーマルからカジュアルまで使えます。白の博多帯は正礼装の場合に締める帯です。
絹の帯でも紬はカジュアルな装いに合わせます。カジュアル用やゆかたの角帯は木綿、ポリエステルを使います。
兵児帯はカジュアル用の帯です。紬や綿、ウールなどカジュアルな着物のときのみで使います。
カジュアルな着物に合わせる兵児帯には牛革やクロコダイルなど、洋装に近くおしゃれ要素の強い帯もありますよ。
帯の結び方は貝の口、片ばさみが一般的です。片流しや浪人結びでは、こなれ感を出した着こなしができます。一文字結びは礼装の際、袴下に用いる結び方です。
男性着物に合わせる小物
男物でも合わせる小物によりさまざまなコーディネートが楽しめます。男性の着物に合わせる小物は次の通りです。
正礼装、準礼装 | 半衿、羽織紐、祝儀扇、足袋、草履 |
略礼装 | 半衿、羽織紐、高座扇、足袋、草履 |
1 小物や下着類
長襦袢
長襦袢は肌着と長着の間に着用します。正礼装には白、準礼装や略礼装では薄い色の長襦袢を着用しましょう。カジュアルな着物には好みの色や柄を合わせます。
半襦袢
上半身のみの半襦袢は、肌着の代わりに長襦袢の下に着ます。長襦袢の代わりになる半襦袢もあり、身頃が木綿で半衿と袖の部分が正絹やポリエステルです。半襦袢の下はステテコか裾除け(女物と同様)を身につけます。Tシャツ襦袢という、半衿風の衿が付いたTシャツもあります。
羽織紐
平組み・丸組みなどの種類がある組紐の羽織紐はフォーマルなシーンで使われます。正礼装の場合は白、色付きの羽織紐は準礼装や略礼装に使用しましょう。
カジュアルな装いにはトンボ玉やレザーなどの飾りのついた羽織紐がおしゃれです。羽織紐はよく目に付く位置にあるため、さまざまな素材を選びおしゃれを楽しむ方もいらっしゃいますよ。
もともと羽織紐には季節の違いはありませんでしたが、最近は夏用の緩めに組んだ羽織紐があります。
半衿
襦袢につける半衿は、正礼装には白の半衿を、柄がなく色の付いた半衿は準礼装で使います。色や柄が付いたものは洒落着やカジュアルな普段着で使いましょう。正絹の塩瀬が一般的ですが、洗濯が簡単なポリエステルの半衿もあります。また夏物半衿には絽や紗、麻などがありますよ。
半衿は汚れやすく、着物を頻繁に着る方は取り換える回数も多くなり面倒です。最近はピンで留めるだけの半衿や、Tシャツや半襦袢に取り付けてありそのまま洗濯ができる半衿もあります。
半衿は見える部分は少ないですが、おしゃれを演出するうえで欠かせないアイテムです。
鞄
着物の鞄には合切袋や信玄袋、巾着があります。
カジュアルな着物にはショルダーバッグを斜めがけに。皮のトートバッグをコーディネートして洋服感覚で合わせてもおしゃれです。
着物にブリーフケースやクラッチバッグを持ってもかっこよく決まります。
扇子
礼装には扇子が必要となります。正礼装では祝儀扇(白扇)または縁起の良い柄が入った祝儀扇、略礼装には高座扇を持ちましょう。
カジュアルな着物の場合は、好きな色や柄のものを合わせられ特に決まりはありません。
足袋
正礼装、茶事は白の足袋を、準礼装には白足袋の他、色足袋も使えます。柄入りの足袋はカジュアルな着物の場合に合わせましょう。
足袋のサイズを選ぶときは普段の靴のサイズから-0.5cmが目安です。サイズの合わない足袋は意外と人の目につくものなので、必ずジャストサイズを用意しましょう。
その他
カジュアルな着物に合わせる小物には様々なものをコーディネートすることができます。懐中時計や煙草入れ、根付などアンティークのものも素敵です。
2 履物
男物の着物に合わせる履物は草履、雪駄、下駄があります。草履と雪駄は、もとは違いがあったそうですが最近は明確な違いがなく、雪駄は草履の一種とされているところもあるようです。
エナメルなど皮はカジュアルや準礼装に用い、正礼装には畳表に白鼻緒というルールがあります。正礼装でも履く畳表には竹皮や籐、パナマ素材が使われている草履が多いようです。
カジュアルな普段着、洒落着用の履物には紬や合皮などで作られた草履もあります。
浴衣や普段着は裸足で下駄を履きます。普段着でも羽織を着るときは足袋を履きましょう。
下駄は木製が主です。白木はシミになりやすいため浴衣のときでも足袋を履くほうが良いと言われています。
まとめ
フォーマルなシーンではまだまだ決まりごとは多いですが、洒落着などは洋服をコーディネートする感覚で楽しめます。
現在では洋服とミックスさせるコーディネートもあり、遊び感覚を取り入れてブーツやスニーカーを合わせた新しい着こなしも粋ですよ。
一度着てみるとお着物って楽しいものです!基本を押さえながらもルールには縛られない着こなしにもぜひ挑戦してみませんか♪