着物を着て出かける際に帯を締める段階で、すでにお太鼓に折りじわがあると気持も少しへこんでしまいますよね。着物をすっきりきこなすには、帯によけいなしわを作らないことが大事です。洋服と違って着物や帯は一直線にたためるので、きちんとたたみ、収納するときに気をつければ、いつでもすっきりと帯結びができます。
帯にしわができるとどうなる?
着物美人の条件のひとつは、帯姿の美しさにあります。帯を締めた時にお太鼓の部分に横じわなどが目立つと、どんなに素敵な帯も値打ちが下がり、野暮ったく見えてしまいます。
女性の場合は正式な着物姿では羽織は着ません。帯にしわができてしまっているから羽織でごまかすことはできないわけです。
帯を締めたときに、お太鼓になる部分や胴にくる部分を考えてたたまないと、とんでもないところに折りじわが目立つことがあります。
「マニュアル通りにたたんだのに」と思わず言ってしまいそうになるかも知れませんが、体型は一人ひとり全て違います。実際に補正をし、着付けをして帯を結ぶ段階でどの部分が胴にくるのか、どの部分がお太鼓になるのか様子を見ながら、見えるところにしわをつけないようにたたむことが大事です。
手間なようですが、帯の裏などに糸で印をつけておくと帯結びの時も収納するときも迷わずにすみますよ。
振り袖や訪問着などで変わり結びをした場合、帯にひだをとることが多いので、どうしてもしわがついてしまいます。振り袖の帯を訪問着や附下にも使うなら、美容院などで着付けをしてもらうときに、後々目立つところに折りじわがつかないような帯結びをしてもらいましょう。
・すでについてしまった帯のしわの取り方
しわになっている部分に白布などをかけて、本などで重みをかけて1日か2日様子を見てみましょう。紬や化繊、ウールの帯など普段着の帯なら当て布を湿らせて、アイロンをかけてても大丈夫ですが、金箔や銀箔、刺繍などが施された礼装用の帯のしわは、プロの手を借りた方が無難です。プレスだけならだいたい5千円以内でもとに戻るようなので、相談してみましょう。
・しわと湿気を取ってから収納しましょう。
着物を脱いだ後は、帯も着物ハンガーなどにかけて2~3日干してから片付けるようにしましょう。
帯の種類
帯は着物の格と合わせて選びますが、留袖、訪問着、振袖などには袋帯を、小紋や紬などには名古屋帯を、紬、浴衣などには単帯(ひとえおび)や半幅帯を用います。
袋帯はお太鼓の部分が二重になる二重太鼓という結び方をします。袋帯は二重にする分、長さをとってあり、袋帯の幅は31,2㎝、長さ430~450cmです。
名古屋帯は一重太鼓なので、幅30,4cm、360~380cmです。
単帯は幅30cm、長さ380cmで、半幅帯は幅17cm、長さ360~400cmになります。
・袋帯
同じ袋帯でも帯全体に柄がある総柄を「全通帯」といい、胴の部分とお太鼓の部分だけに柄があるものを「六通帯」といいます。その他にも、金糸や銀糸をあまり使用せずカジュアルでモダンな袋帯を「しゃれ帯」といった呼び方をします。
「京袋帯」は、仕立て方が袋状になっているため袋帯といった呼び名がついていますが、この帯は名古屋帯と同じくらいの長さなので、二重太鼓には結べません。しかし、名古屋帯のように胴回りが半分に折ってかがっていないため、広いままで変わり結びに使えます。大柄な人や粋好みの人は、胴まわりの前幅を少し多めにすることもできるので、着物通の人には人気があります。
・名古屋帯
一重太鼓結びに合う帯で、普段着の着物から外出着まで、もっともよく使われる帯です。名古屋帯は仕立てが8寸(約30cm)の八寸名古屋帯と、9寸(約35cm)の「九寸名古屋帯」があります。「九寸名古屋帯」は、「袋名古屋帯」とも呼び、格調高い「織り名古屋帯」なら無地の着物などと合わせて準礼装としても使用することができます。
・腹合わせ帯
表と裏に違う布を使い、帯芯を入れて仕立てられたもので長さは袋帯と同じ寸法ですが、礼装としては使用できません。趣味の帯として用いられます。
・単衣帯
裏地も芯もなく夏帯として用いられ、長さがあるので、二重太鼓やアレンジ結びもできます。博多帯などがよく知られています。
・半幅帯
名古屋帯などの半分の幅なので、半幅帯といいます。紬や浴衣などの普段着の着物にに用います。
・丸帯
丸帯は、本来もっとも格式の高い帯ですが、現在では袋帯が礼装用の帯として用いられています。主に丸帯は花嫁衣裳や舞子さんの着物に取り合わせます。
最低限知っておきたい帯と着物の関係
帯と着物は格を合わせることが大切です。最近ではあまりこだわらなくなったとはいえ、最低限の決まりを知っておくことで恥をかかずにすみます。
・袋帯は礼装用の着物の留袖や訪問着、振袖などに用いますが、ミセスは二重太鼓に、ミスは飾り結びをするため丈が長くとってあります
表と裏が袋のように縫い合わせて仕立てられており、金糸や銀糸、箔などを使った豪華なものが多く、西陣織や佐賀錦などがよく知られています。
・名古屋帯は小紋や紬など、格式から見れば普段着の着物に合わせます。
しかし、名古屋帯でも帯の柄が格式あるものなら、無地の着物などに合わせて略礼装としても用いることもできます。
・半幅帯は紬やウールなどの普段着の着物や浴衣などに用います。
それぞれの帯のたたみ方
・袋帯のたたみ方
①外表にして丈を二つに折り、輪の部分が右側に来るように置きます。
②お太鼓部分と胴まわりに折り目がこないようにして、たとう紙に合わせてびょうぶだたみにします。
・名古屋帯のたたみ方
①裏返して垂れ先を右側に向けて置き、その上に胴回りに巻く細い方を重ねるように折ります。
②縫いどまりの方の三角を折り返し、さらに二つにたたみます。
・半幅帯のたたみ方
半幅帯を収納する場合は、丸めて立てて収納します。
帯を収納する際に気をつけたいこと
・袋帯などで金糸や銀糸、箔が使われている場合は、防虫剤のショウノウの多用はひかえましょう。変色や剥離の原因になることがあります。
・湿気のないところや桐のタンスなどで保管しましょう。
桐ダンスなどに収納する際は、上等なものは上段に収納すると湿気にくいと言われています。
・帯や着物と小物類は分けて収納しましょう。
帯を止めるクリップや変わり結びに使うゴムなどを一緒に収納すると、変色することがあります。
・匂い袋も直接触れると、トラブルの原因となることもあるので避けましょう。
・年に2回程は、使用していなくても虫干しをしましょう。
帯は着物よりも高価なものを
昔から、帯は着物より高価なものを選ぶとよいと言われていますが、着物を着る機会が少なくなった近年、できれば振袖用に買った帯を訪問着や無地の着物などにも活用したいものです。
振り袖用には帯も大柄で派手な模様を選びがちですが、他の礼装用にも使いたいなら、振り袖以外の着物にも合いそうなお気に入りの帯を選んでから、振り袖を選ぶという方法もあります。帯は着物を引き締める効果があるので、振り袖に大柄のものを選ぶと、幾何学模様などの地味目の帯がかえって引き立ちます。
帯にお金をかけるなら、コーディネートを考えてから購入するようにしましょう。
まとめ
着物は日本の民族衣装ですが、美しく着るには約束事や保管の仕方などを知っておくことが大事です。いったん覚えてしまうとそれほど難しいことではないので、帯の種類やたたみ方を覚え、上手に保管し、着たいときにいつでも着れるようにしておくと、おしゃれの幅が広がります。