「着物の小物は種類が多くて、それぞれにどんな役割があるの?」と疑問を抱えている人もいるでしょう。着物は洋服とは異なり、1枚でさらっと着こなすことはできません。しかし、着物ならではの奥ゆかしさや上品さが楽しめるため、日常生活で着用する人もいます。着物を楽しむためには、まずどんな和装小物があり、どんな役割があるのかを知っておくことが大切です。
この記事では、着物を着用する際に使用する和装小物の種類と役割について詳しくご紹介します。参考にしてみてくださいね。
着物にはさまざま種類の小物がある!
着物を着用する際に必要なアイテムとして、多くの人が思い浮かべるのは「着物本体」と「帯」でしょう。たしかにこの2点は重要なアイテムです。しかし、美しく着こなすには、和装小物を併用しなければなりません。
和装小物は種類が多く、何があるのか、どんな役割があるのかなどを詳しく知らないという人も多いでしょう。それぞれ意味があり、着崩れを起こしてしまったり汚れてしまったりすることを防ぐ、なくてはならない存在です。
着付ける際に必要な小物を理解しておくと、着物の世界を深く楽しむことができます。せっかく着用するわけですから、綺麗に着こなしましょう。
帯周りの和装小物について
はじめに、帯周りの和装小物についてご紹介していきます。
帯揚げ
帯揚げは、着物と帯の間に少しだけ顔を出すため、差し色のようにコーディネートを楽しむことが可能です。おしゃれな飾り付けとしての役割と同時に、後述する「帯枕」などを包んで隠す役割もあります。
帯締め
帯締めは、その名前の通り「帯を締める」という役割があります。後ろで結んでいる帯が緩まないように、腹部に帯締めを巻きつけて支えるのです。帯の外側にくる帯締めは、帯や着物の色に合わせてデザインを選んでいきましょう。
帯留め
帯留めは、前述の帯締めに通して、帯の正面を飾り付けるアクセサリーです。帯揚げや帯締めのように着物を着る際の実用的なアイテムではないため、帯留めは付けなくても良いと考えている人も多いでしょう。
たしかに帯留めはアクセサリーのため、付けなくても着物を着用することは可能です。しかし、季節感の出る帯留めを選べばお洒落な印象を与えることができますよ。木彫りや宝石などで作られたものなど、種類はさまざまですのでお好みで選んでみてくださいね。
帯板
帯板は、帯の正面側をシワなく真っ直ぐに支える役割があります。帯板がなくては、帯を腹部に巻き付けたときにシワがよってしまい、しっかりと結ぶことができません。帯板を選ぶ際には、使用する帯よりも幅が狭いデザインのものを選びましょう。帯から帯板がはみ出てしまっては不格好になってしまうためです。
帯を結んでいる途中に差し込むタイプや、帯を結ぶ前に腹部に設置するタイプなど種類があるため、自分が使いやすいものを選んでくださいね。
帯枕
帯枕は、帯の結び目が解けたり下がってきたりするのを防止するアイテムです。前述の帯揚げという布に包んで使用します。数種類の大きさがあり、そのときの帯の結び目や年齢などによっても使い分けることが可能です。
訪問着などを着用した際に、定番の帯の結び目である「お太鼓結び」には必ず帯枕が必要となります。
衿周りの和装小物について
次に、衿周りの和装小物についてご説明します。
衿芯
衿芯は、半衿や肌襦袢の襟元をピシッと綺麗に見せるためのアイテムで、別名「衿カラー」とも呼ばれています。帯板などと同様に、シワにならないように程よく固い素材です。硬さや素材などはお好みで選んでくださいね。
半衿
半衿は、着物のなかに肌着としている「肌襦袢」の衿につけるもので、「半襟」とも表右舷されることもあります。半衿は着物を着た際に、襟元にファンデーションなどの汚れがつかないようにするためのものです。
洋服とは違い高価な着物は、ファンデーションなどの汚れがついてしまうと自宅で落とすのは難しく、着物のクリーニングなどに出さなければなりません。それを少しでも防ぐための汚れ防止アイテムです。
一般的には無地ですが、最近ではおしゃれに絵柄や刺繍が入れられているデザインの半衿もあります。フォーマルなシーンでの着用なのか、カジュアルシーンでの着用なのかを考えて選んでいきましょう。
そのほかの和装小物について
続いて、そのほかの和装小物についてご紹介します。
肌襦袢
肌襦袢は、着物の下に着る肌着のことです。丈が長い肌襦袢は「長襦袢」と呼びます。肌襦袢は、着崩れ防止の役割があるのと同時に、汗を吸収してくれるアイテムです。もしも肌襦袢を着ていないと、着物が汗を吸い取ってしまい傷めてしまうでしょう。
着物にとって汗などを含む湿気は大敵です。湿気によってカビが発生してしまい着られなくなってしまうこともあります。こうしたことからも、着物を着用するときには肌襦袢は必ず着ることをおすすめします。
裾よけ
裾よけとは、肌襦袢の下につけるアイテムで、着物の裾を傷めないようにするために着用します。スカートのような形で、紐を腰に巻きつけて着用するタイプが一般的です。足さばきが良くなり、着崩れ防止にもなる裾よけは着付けの際に必要となります。
腰ひも
腰ひもは、長襦袢や着物の丈を調節する際に腰に巻く紐です。着物本体に2本程度、長襦袢に1本、帯の仮止めに2本程度、合計4〜5本程度を1回で使用します。浴衣の場合は2本程度で大丈夫です。どちらにしても、1本では足りませんのでしっかりと準備しておきましょう。
伊達締め
腰ひものうえから、さらに着崩れ防止するために「伊達締め」を巻きます。少し小さめの帯のような形です。通常、長襦袢に1本、着物に1本の合計2本を使用します。
伊達締めのうえには帯を巻いてしまうため、外側からは見えません。そのため、ポリエステル 素材や夏でも使えるメッシュタイプなどさまざまなデザインがあります。
草履・バッグ・足袋
細かいアイテムはたくさんありますが、そのなかでも「草履」「バッグ」「足袋」が着物を着用するうえで必要なことは想像しやすいのではないでしょうか。
草履やバッグに関しては、着物の格に合わせて選んでいきましょう。小物だからといってあるもので合わせてしまうと、着物は正式で格の高いものを選んでいるのに、バッグや草履はカジュアルシーンで着用するようなものになってしまう可能性もありチグハグになってしまいます。
ちょっとした小物で着物に個性を出しておしゃれになろう
着物を着るときに一番注目を浴びるのところは、やはり着物本体のデザインや素材だと考えられます。しかし、今回ご紹介したような着物を着る際に使用する小物にも個性を出して、おしゃれな着こなしをすることが可能です。
しかし、なかには「着物で費用がかかるから、できるだけ小物の出費は抑えたい」と考えている人もいるでしょう。そこで、小物をできるだけ安く購入したい人には「着物専門のリユースショップ」での購入をおすすめします。
リユースショップでは新品の小物を購入するよりも安く購入できるためおすすめです。新品ではあまり見ないような変わった形や柄の小物に出会えることも。ぜひ利用してみてくださいね。
(まとめ)小物の役割を理解するとさらに着物の世界を楽しめる
今回は、着物を着用する際に使用する「和装小物」についてご紹介しました。洋服と比較すると1着を着るためにたくさんの小物を使用します。面倒に感じてしまう人もいるかもしれませんが、綺麗に着こなすためにはどれも必要なものばかりです。
着物を着用して外出した際に着崩れを起こしてしまっても、すぐに直せないこともあります。こうした小物で着崩れ防止をして、より深い着物の世界を楽しみましょう。